第Ⅱ編第1章人体の構造と機能 11.血液・免疫系

1.血液の成分について説明できる。

【学習のポイント】

血液が、液体成分である「血漿」と、細胞成分である「血球」という2つの主要な部分から構成されていることを理解します。

説明

血液は、大きく分けて液体成分と有形成分(細胞成分)から構成されています。

  • 血漿(けっしょう):血液の約55%を占める液体成分です。その約90%は水分で、その他にアルブミンなどのタンパク質、電解質、糖、脂質、ホルモン、老廃物などが溶け込んでいます。血液から凝固因子を除いたものを**血清(けっせい)**と呼びます。
  • 有形成分(血球):血液の約45%を占める細胞成分です。赤血球白血球血小板の3種類があります。

2.血液系の機能について説明できる。

【学習のポイント】

血液が単に赤い液体ではなく、「運搬」「調節」「防御」という、生命維持に不可欠な多くの重要な役割を担っていることを理解します。

説明

血液は血管内を循環し、全身の細胞・臓器の機能を維持するために、以下のような多様な働きを担っています。

  1. 物質の運搬:肺から全身へ酸素を、全身から肺へ二酸化炭素を運ぶガス交換のほか、消化管で吸収した栄養素、内分泌器官で作られたホルモン、細胞から出た老廃物などを必要な場所へ運びます。
  2. 内部環境の維持:全身を巡ることで体温を均一に保つ体温調節や、緩衝作用によるpH(酸塩基平衡)の調節など、体内の環境を一定に保ちます(ホメオスターシス)。
  3. 生体防御:白血球や抗体などが、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体と戦い、体を感染から守ります(免疫)。
  4. 止血作用:血管が損傷した際、血小板や凝固因子が働いて出血を止めます(血液凝固)。

3.血球の種類とそれぞれの機能について説明できる。

【学習のポイント】

3種類の血球(赤血球、白血球、血小板)のそれぞれの「見た目の特徴」と「主な働き」を対応させて覚えます。特に白血球には多くの種類があることを理解します。

説明

血球には大きく分けて3種類あり、それぞれ異なる機能を持っています。

  • 赤血球:核のない中央がくぼんだ円盤状の細胞で、血液の赤色のもとであるヘモグロビンを含んでいます。主な機能は、ヘモグロビンと酸素を結合させて酸素を全身に運搬することです。
  • 白血球:核を持つ細胞で、体内に侵入した細菌や異物などから体を守る免疫機能を担います。機能や形態によって、さらに以下の種類に分けられます。
    • 好中球:白血球の中で最も数が多く、細菌などを貪食(どんしょく、食べて処理すること)します。
    • リンパ球:抗体産生やウイルス感染細胞の破壊など、特異的な免疫反応の中心となります。
    • 単球:白血球の中で最も大きく、組織内ではマクロファージとなって強力な貪食作用を示します。
    • 好酸球:アレルギー反応や寄生虫感染に関与します。
    • 好塩基球:アレルギー反応に関与するヒスタミンなどを含んでいます。
  • 血小板:核のない不定形な細胞断片で、血管が損傷した際にその場所に集まって粘着・凝集し、血の塊(血栓)を作って出血を止める一次止血の役割を担います。

4.造血と血球の破壊について説明できる。

【学習のポイント】

血球が「骨髄」で生まれ(造血)、一定期間働いた後に主に「脾臓」で壊される(破壊)、という一生の流れを理解します。

説明

  • 造血:血球が作られる過程を造血といいます。生後、全ての血球は骨の中にある骨髄(こつずい)で、共通の造血幹細胞という1種類の細胞から分化して作られます。成人では、主に胸骨、肋骨、骨盤、椎骨などの扁平骨で活発に造血が行われています。
  • 血球の破壊:古くなった血球は体内から除去されます。
    • 赤血球:寿命は約120日で、寿命が尽きると主に**脾臓(ひぞう)**で破壊されます。
    • 血小板:寿命は約10日で、これも主に脾臓で破壊されます。

5.血漿の成分と機能について説明できる。

【学習のポイント】

血漿が血液の液体成分であり、水分以外に「タンパク質」が豊富に含まれ、それぞれが重要な役割(物質運搬、浸透圧維持、免疫、凝固など)を果たしていることを理解します。

説明

血漿は血液から血球を除いた淡黄色の液体成分で、その約90%は水です。水以外には、以下のような多様な物質が含まれ、それぞれが重要な機能を担っています。

  • 血漿タンパク質
    • アルブミン:血漿タンパク質の主成分。様々な物質と結合して運搬するほか、血液の浸透圧(膠質浸透圧)を維持し、血管内に水分を保つ働きがあります。
    • グロブリン:抗体として働く免疫グロブリンなどが含まれ、免疫機能に関わります。
    • フィブリノゲン:血液凝固に必須の因子です。
  • その他:電解質、ブドウ糖、脂質、ホルモン、ビタミン、老廃物なども血漿に溶け込んで全身に運ばれます。

6.骨髄の構造と機能について説明できる。

【学習のポイント】

骨髄が骨の中心部にある「血液細胞の工場」であることを理解します。

説明

  • 構造:骨髄は、骨の内部の空洞を満たしている柔らかい組織です。活発に血球を作っている赤色骨髄と、脂肪組織に置き換わった黄色骨髄があります。小児期は全身の骨に赤色骨髄がありますが、成人になると体幹の骨や長管骨の骨端などに限定されます。
  • 機能:骨髄の唯一かつ重要な機能は、赤血球、白血球、血小板という**全ての血液細胞を産生すること(造血)**です。

7.脾臓の構造と機能について説明できる。

【学習のポイント】

脾臓が、血液に関する「フィルター」「破壊工場」「免疫器官」「貯蔵庫」という、複数の役割を持つ多機能な臓器であることを理解します。

説明

脾臓は左上腹部にある臓器で、通常は体表から触れることはできません。血液に関して、以下のような多様な機能を持っています。

  1. 古い血球の破壊:寿命が来た赤血球や血小板を捕捉し、破壊します。
  2. 血液の濾過(フィルター機能):血液中の異物や細菌などを取り除きます。
  3. 免疫反応:リンパ球が集まる白脾髄という領域があり、血液を介して侵入した病原体に対する免疫反応の場となります。
  4. 血液の貯蔵:血液を一時的に貯蔵し、出血時などには収縮して内部の血液を循環血中に送り出す、血液の貯蔵庫としての役割も果たします。

8.止血と凝固、線溶の過程について説明できる。

【学習のポイント】

出血が止まる仕組みが、①血管の収縮、②血小板による一次止血、③凝固因子による二次止血という段階的なプロセスであること、そして作られた血栓が不要になった後にはそれを溶かす仕組み(線溶)も備わっていることを理解します。

説明

  • 止血と凝固:血管が損傷して出血が起こると、体は以下の3段階で止血を行います。
    1. 血管収縮:損傷した血管が反射的に収縮し、血流を減少させます。
    2. 一次止血:損傷部位に血小板が集まって粘着・凝集し、血小板血栓という一次的な「栓」を作って傷口を塞ぎます。
    3. 二次止血(血液凝固):血漿中の凝固因子が連鎖的に活性化(凝固カスケード)され、最終的にフィブリノゲンというタンパク質が、網目状の丈夫なフィブリンに変化します。このフィブリンが血小板血栓を覆い固め、強固なフィブリン血栓を形成して止血を完了させます。
  • 線溶:血管の修復が完了した後、不要になった血栓を溶かして取り除く仕組みです。プラスミンという酵素がフィブリンを分解し、血栓を溶解します。

9.免疫の役割について説明できる。

【学習のポイント】

免疫が、自分(自己)と自分でないもの(非自己)を区別し、非自己を排除することで体を守るシステムであることを理解します。

説明

免疫とは、体内に存在する物質が「自分自身の成分(自己)」か「それ以外の異物(非自己)」かを見分け、非自己を認識して体から排除しようとする生体防御の仕組みです。

  • 有利な役割
    • 体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原性微生物の排除
    • 体内で発生したがん細胞の発見と破壊
    • 毒素など有害な物質の中和・無毒化
  • 不利な役割
    • 臓器移植の際の拒絶反応
    • 花粉など無害なものに過剰に反応するアレルギー
    • 自己の組織を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患

10.液性免疫、細胞性免疫の仕組みについて簡単に説明できる。

【学習のポイント】

特定の異物(抗原)を狙い撃ちする免疫には、抗体が主役の「液性免疫」と、免疫細胞自身が主役の「細胞性免疫」の2種類があることを区別して理解します。

説明

特定の抗原に対してのみ反応する特異的免疫には、以下の2つの仕組みがあります。

  • 液性免疫Bリンパ球が主役の免疫です。Bリンパ球は、特定の抗原を認識すると形質細胞に分化し、その抗原にだけ結合する抗体というタンパク質を大量に産生します。抗体は血液や体液中に放出され、細菌や毒素に結合して無力化したり、貪食細胞が食べやすいように目印を付けたりします。主に、細胞の外にいる病原体に対して働きます。
  • 細胞性免疫Tリンパ球が主役の免疫です。ウイルスに感染した自己の細胞や、がん細胞など、細胞ごと異常になったものをTリンパ球が直接認識し、攻撃・破壊します。ヘルパーT細胞が司令塔となり、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)が攻撃を実行します。

11.能動免疫、受動免疫について実例をあげて説明できる。

【学習のポイント】

免疫の獲得方法には、自力で獲得する「能動免疫」と、他者から抗体をもらって一時的に得る「受動免疫」の2種類があることを、具体例とともに理解します。

説明

  • 能動免疫:抗原(病原体など)が体内に侵入したことに対し、自分自身の免疫系が働いて抗体や記憶細胞(メモリー細胞)を作り、獲得する免疫です。一度獲得すると長期間持続するのが特徴です。
    • 実例
      • 麻疹(はしか)などの感染症に一度かかると、二度とかかりにくくなる。
      • ワクチン接種によって、病原性を取り除いた(あるいは弱めた)抗原を投与し、人工的に免疫を獲得させる。
  • 受動免疫:自分では抗体を作らず、他者が作った抗体を体内に取り込むことで一時的に獲得する免疫です。効果は短期間で、記憶もされません。
    • 実例
      • 胎盤や母乳を通じて、母親から胎児や乳児へ抗体が移行する。
      • ヘビ毒の治療などで、抗体を含む抗毒素血清を注射する。

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浴槽内死亡例の死因判断について

日本における浴槽内での死亡事例は、高齢者を中心に毎年多数報告されています。これらの死因を判断する際には、溺死、心疾患、脳血管障害、熱中症など、さまざまな要因が考慮されます。 死因の内訳 兵庫県監察医務室で2004年から2013年の10年間に検案された1,616件の浴槽内死亡例の分析によれば、直接の死因は以下の通りです。 兵庫県ウェブサイト 虚血性心疾患:最も多く、全体の約30%を占めています。 溺死:約11%。 不整脈:約13%。 心不全:約5%。 その他の病死:約14%。 また、東京都監察医務院のデータでも、浴槽内死亡例の死因として虚血性心疾患が最多であり、次いで脳血管障害、溺死が続いています。 J-STAGE 死因判断の手順 浴槽内での死亡事例の死因を特定する際には、以下の手順が取られます。 直接死因の特定:溺水の有無を確認します。溺水が認められる場合、肺のうっ血や気道内の泡沫などの所見が参考となります。 基礎疾患の確認:心疾患や脳血管障害など、既往歴や解剖所見から基礎疾患の存在を確認します。 環境要因の考慮:入浴中の高温環境や急激な温度変化によるヒートショック、飲酒や薬物の影響など、環境要因も考慮されます。 総合的判断:以上の情報を総合して、最も可能性の高い死因を特定します。 課題と対策 浴槽内死亡の死因判断には、以下の課題があります。 死後変化の影響:高温環境下では死後変化が早く進行し、正確な死因特定が難しくなることがあります。 多様な要因の絡み合い:心疾患、脳血管障害、溺水、熱中症など、複数の要因が同時に関与している場合、どれが主な死因かを判断するのが難しいことがあります。 これらの課題に対処するため、詳細な現場検証や解剖、さらにはCT検査(Ai-CT)などの画像診断が活用されています。 浴槽内死亡では死亡保険支払額が変わってくることがあります。 死亡保険に「不慮の事故」に対する補償が付いている場合、浴槽内死亡がその補償の対象となるかどうかは、死亡原因と保険の契約条件によります。以下のポイントを確認する必要があります。 1. 「不慮の事故」の定義 保険会社による一般的な定義では、「不慮の事故」とは「外部からの急激かつ偶然な出来事によって生じた怪我や死亡」を指します。 例:滑って転倒したり、何かにぶつかって発生した事故。 注意:疾患や自然死は通常、「不慮の事故」には該当しません。 2. 浴槽内死亡が対象となるケース 次のような場合、不慮の事故として認められる可能性があります。 (a) 滑って転倒し頭を打った場合 浴槽に入る際、または浴室で滑って転倒し、頭を打ったりして意識を失った場合。 (b) 溺死と診断された場合 意識を失い溺れた結果として死亡した場合、保険会社が「不慮の事故」と判断することがあります。 3. 対象外となる可能性があるケース 次の場合は不慮の事故と見なされない可能性があります。 (a) 病死による死亡 心筋梗塞や脳卒中などの病気が原因で浴槽内で死亡した場合、不慮の事故の補償対象外となることが一般的です。 (b) 疾患による二次的な溺死 心疾患や脳血管障害によって意識を失い、結果的に溺死した場合も、不慮の事故ではなく基礎疾患が原因と見なされることが多いです。 4. 保険金の支払いを確認するためのポイント 死亡診断書の記載内容: 死因が「溺死」と明記されているかどうかが重要です。 併記されている基礎疾患(例:心疾患や脳卒中)が主因とされる場合、事故として認められない可能性があります。 契約時の保険約款: 保険契約における「不慮の事故」の具体的な定義や免責事項を確認してください。 事故証明書: 浴室で滑って転倒したなどの物的証拠があれば、保険金請求の際に有利となる場合があります。 5....

救急救命士国家試験 第43回A26解説

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救急救命士国家試験 第43回D7解説

https://youtu.be/DG-VotjpdX0 心電図のノイズについて 1. 交流障害(ハムノイズ) 特徴 周波数:50Hzまたは60Hz(電源周波数による影響) 波形:等間隔の正弦波(周期的) 周期性:一定の間隔で繰り返される 振幅:一定(大きく変化しない) 心拍との関係:なし(電源由来なので心拍とは無関係) 影響範囲:特定の誘導(複数のリードに影響が出ることが多い) 原因 電源の影響 交流電源(コンセント)の近くにリード線がある 電気機器の干渉(蛍光灯、パソコン、モニター) 心電図機器の接地(アース)が不適切 電極の接触不良 皮膚が汗や皮脂で汚れている 電極の粘着力が弱い 電極が乾燥している 対策 ✅ 電源ケーブルとリード線を分離する✅ 適切なアース(接地)を行う✅ 電極の密着を確認し、皮膚を清潔にする✅ 交流フィルター(50/60Hzノッチフィルター)を適用する 2. 高周波ノイズ 特徴 周波数:数百Hz~数kHz(交流ノイズよりもはるかに高い) 波形:ランダムで細かいギザギザ(鋭くて不規則な振動) 周期性:なし(波形が不規則) 振幅:不安定 心拍との関係:なし(外部の電子機器由来) 影響範囲:全体に影響することが多い 原因 電磁干渉(EMI) 携帯電話、Wi-Fiルーター、電子レンジ、無線機器 医療機器(電気メス、透析機、MRI装置など)の影響 シールドの不適切な機器やケーブル 静電気放電(ESD) 冬場などで発生しやすい 対策 ✅ 電子機器を心電図機器から遠ざける✅ シールド付きのリード線を使用する✅...

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