1.皮膚を構成する3つの層を表層から順にあげ、それぞれの構造について説明できる。
【学習のポイント】
皮膚が、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの層でできていること、そして各層が持つ構造的な特徴(細胞の種類、付属器の有無、脂肪の存在など)を理解します。
説明
皮膚は、体の表面を覆う膜性の構造で、表層から順に表皮、真皮、皮下組織の3つの層で構成されています。
- 表皮(ひょうひ)
- 構造:皮膚の最も外側にある厚さ0.2mm程度の薄い層です。血管は通っていません。表皮の最深部(基底層)では細胞分裂が活発に行われ、新しい細胞が作られています。この細胞は、ケラチンというタンパク質を蓄えながら徐々に表面へ押し上げられ、最終的には死んだ細胞からなる硬い**角質層(かくしつそう)**となって、垢としてはがれ落ちます。この角質層が、皮膚のバリア機能の中心を担っています。その他、メラニン色素を作るメラノサイトや、免疫に関わるランゲルハンス細胞なども存在します。
- 真皮(しんぴ)
- 構造:表皮の下にある厚い層で、皮膚の本体ともいえる部分です。コラーゲンなどの線維成分に富む丈夫な結合組織でできており、皮膚の弾力性や強度を保っています。真皮には、血管、リンパ管、神経が豊富に分布しているほか、毛包、汗腺、脂腺といった皮膚付属器が存在します。
- 皮下組織(ひかそしき)
- 構造:真皮と、その下にある筋膜との間にある層で、その大部分は脂肪組織(皮下脂肪)で占められています。
- 役割:外力に対するクッションとして衝撃を和らげるほか、体温を保つための断熱材や、エネルギーの貯蔵庫としての役割も果たします。
2.皮膚の機能について説明できる。
【学習のポイント】
皮膚が体を覆う単なる「カバー」ではなく、保護、体温調節、感覚、ビタミンD生成など、生命維持に欠かせない多くの機能を持つ多機能な器官であることを理解します。
説明
皮膚は、以下のような多様な機能を持っています。
- 保護機能:最も外側の角質層が、物理的な刺激、化学物質、細菌などの異物が体内に侵入するのを防ぐバリアとして働きます。また、メラニン色素が紫外線を吸収し、深部組織を有害な紫外線から守ります。
- 体液の保持:皮膚が水分の蒸発を防ぎ、体内の水分が過剰に失われるのを防ぎます。
- 体温調節機能:暑い時には、皮膚の血管を拡張させて熱を放散したり、汗腺から汗を分泌してその気化熱で体温を下げたりします。寒い時には、血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぎます。
- 感覚機能:皮膚には痛覚、触覚、圧覚、温度覚などを感じる多数の神経終末や受容器が存在し、外界の情報を感知するセンサーとして働きます。
- ビタミンDの生成:表皮に紫外線が当たることで、カルシウムの吸収に必要なビタミンDが生成されます。
- 分泌・排泄機能:汗腺から汗(水分、塩類など)を、脂腺から皮脂を分泌します。
3.皮膚付属器をあげ、それぞれの構造と機能について説明できる。
【学習のポイント】
皮膚から変化してできた付属器(毛、爪、汗腺、脂腺、乳腺)の名称と、それぞれの役割を覚えます。
説明
皮膚付属器とは、皮膚が特殊に分化してできた器官のことで、毛髪、爪、汗腺、脂腺、そして乳腺が含まれます。
- 毛髪(もうはつ)
- 構造・機能:ケラチンというタンパク質でできた糸状の構造物です。皮膚に埋まった部分(毛根)は毛包に包まれています。頭部などを物理的な刺激や紫外線から保護する役割や、保温機能があります。毛包には立毛筋が付着しており、これが収縮すると「鳥肌」が立ちます。
- 爪(つめ)
- 構造・機能:これもケラチンでできた硬い板状の構造で、指の末端の背面を覆っています。指先を保護するとともに、物をつまむなどの細かい作業を助ける役割があります。
- 汗腺(かんせん)
- 構造・機能:汗を分泌する腺で、全身に分布するエクリン汗腺と、腋の下などに局在するアポクリン汗腺があります。エクリン汗腺から分泌される汗は、主に体温調節の役割を担います。アポクリン汗腺から出る汗は、体臭の原因となることがあります。
- 脂腺(しせん)
- 構造・機能:皮脂を分泌する腺で、多くは毛包に開口します。分泌された皮脂は、皮膚や毛髪の表面に皮脂膜を作り、潤いとしなやかさを保ち、乾燥や細菌から守る働きをします。
- 乳腺(にゅうせん)
- 構造・機能:汗腺の一種であるアポクリン汗腺が特殊に変化したもので、乳汁を産生・分泌します。成人女性の前胸部にあり、乳房を形成します。