体性痛と内臓痛

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体性痛とは?

体性痛は、体表や筋肉など体の「外側」に分布する体性神経によって感じられる痛みです。この痛みは場所が明確で、比較的鋭い痛みとして認識されます。

刺激の種類と例

  1. 熱刺激
    温度刺激が閾値を超えると痛みとして感じます。例えば、42℃以上のお湯が「熱くて痛い」と感じられるのは、皮膚の温度センサーが刺激を受けるためです。
  2. 機械刺激
    強い圧力や引っ張りで起こります。つねられたときに痛みを感じるのは、皮膚や組織が圧力に反応するからです。
  3. 化学刺激
    化学物質が受容体を刺激することで痛みが発生します。例えば、皮膚に刺激性の物質が触れたときに感じる痛みがこれに該当します。

内臓痛とは?

内臓痛は、内臓に分布する内臓知覚神経によって引き起こされる痛みです。内臓自体(肝臓や腎臓の実質部)は直接痛みを感じませんが、内臓の牽引、腫脹、痙攣、または拡張などが原因で痛みが生じます。

特徴と原因

  1. 痛みの感じ方
    • 内臓痛は、漠然とした広い範囲で感じられることが多く、痛みの部位を明確に特定しにくいです。
    • 例:胃腸炎や食中毒の際に上腹部や臍周囲、下腹部にズキズキとした痛みを感じることがあります。
  2. 周期性
    胃や腸の痙攣に伴い、周期的に痛みが強くなることがあります。
  3. 内科的治療で軽快
    多くの場合、薬物療法で症状が改善します。

お腹の痛みと体性痛

お腹が痛い場合には、内臓痛と体性痛が混在することがあります。特に腹膜や腸間膜などの部位に分布する体性神経が刺激されると、体性痛が発生します。

例:腹膜炎

  • 初期の痛み
    腹膜が炎症を起こすと、限局性の強い痛みとして感じられます。
    例:「お腹のここが痛い」と具体的な部位を指摘できる痛み。
  • 進行した痛み
    炎症が進むと、腹壁が硬直して板状硬がみられることがあります。これは体性痛特有の反応で、緊急手術の適応となることが多いです。

体性痛の特徴

  • 非対称性
  • 明確に特定できる部位の痛み
  • 歩行時や打診で痛みが増強
  • 炎症がひどい場合、反射的な筋硬直(板状硬)を伴う

体性痛と内臓痛の比較

特徴体性痛内臓痛
痛みの範囲明確で局所的漠然として広い範囲
痛みの性質鋭く、突き刺すような痛み鈍く、周期的な痛み
原因外的刺激(熱、圧力、化学刺激)内臓の痙攣、牽引、拡張
つねられた痛み、腹膜炎胃腸炎、胆石症

臨床での重要性

  • 体性痛は、緊急手術が必要な状態を示すことが多く、迅速な診断と対応が求められます。
  • 内臓痛は、疾患の原因が内科的に治療可能である場合が多いですが、注意深い観察が必要です。

この違いを理解することで、正確な診断と適切な治療につながります。

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